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定期調査・検査報告制度

2.定期調査・検査制度改正の内容

2-1.防火設備検査報告制度の創設等(平成28年6月1日施行分)

(1)制度改正の背景

  1. ① 近年
     平成25年2月 長崎市のグループホームにおける火災
     平成25年10月 福岡市の診療所における火災
    等の高齢者等が居住する施設等において火災による大きな事故が発生しました。これらについては、特定行政庁において報告対象として指定されておらず、必要な是正を行う機会を逸することとなったため、大きな事故につながった可能性があるとの指摘がありました。
     こうしたことから、特に安全性を確保する必要性が高い建築物等については、 全国的に定期報告を義務付け、所有者等に自らの建築物等を専門家にチェックさせ、その危険性や是正の必要性を認識する機会とする必要があるとして、定期調査・検査報告の対象の見直しが行われました。
  2. ② 従来、防火戸などの防火設備については、建築物の定期調査の一部として設置の有無、劣化の状況など目視を主とした調査のみを行うこととされていました。これは、従来の防火設備は機械的で単純な構造であったため、専門家による詳細な検査は不要であると考えられていました。
     しかし、近年、火災感知やシステム制御など機構が高度化・複雑化しているため、火災時に確実に作動するよう適切な維持保全を図るためには、作動状況まで十分に検査できるよう、防火設備の専門家による詳細な検査が必要となっていることから、今回、 防火設備に関する検査制度が新たに創設されました。
  3. ③ 従来の定期調査・検査制度においては、所有者等は、国土交通大臣が定める資格を有するもの等に建築物の状況の調査や建築設備の検査を行わせ、その結果を特定行政庁に報告することとされていました。国土交通大臣が定める資格を有する者としては、省令で特殊建築物等調査資格者、昇降機検査資格者及び建築設備検査資格者が定められ、資格者である証明は、省令で定める講習の修了証明書のみによって行われていましたが、定期調査・検査に関して不誠実な行為(粗雑な定期調査・検査の実施、虚偽の報告書の作成等)をした者や不正な手段により講習の修了証明書を取得したものであっても、必要な処分を行うための規定が未整備でした。
     また、近年頻発している昇降機等に関する事故では、維持管理の不徹底が事故の一因として指摘されています。重大な事故の発生を防ぐためには、建築物の定期調査・検査をさらに適切に実施する仕組みを構築する必要があり、 定期調査・検査に関して不誠実な行為をした者や不正な手段により資格を取得した者を確実に資格者制度から排除できるよう、資格者証制度を法定化し、処分に従わない者には罰則を科して、定期調査・検査制度の実効性を確保する必要があることから、資格者に対する処分基準が明確化されました。

(2)改正のポイント

  1. 定期調査・検査の対象建築物の指定見直し(法第12条第1項から第4項まで)
     病院・診療所等の就寝の用途に供する建築物、百貨店等の不特定多数の者が利用する建築物で一定規模以上のもので、 安全上、防火上又は衛生上重要なものとして政令で定める建築物や、政令で定める建築設備・防火設備については、法令により一律に定期調査・検査の対象とし、それ以外の法令で定められた一定の建築物・建築設備については、従来通り特定行政庁が地域の実情に応じた指定を行うことができることとなりました。
  2. 防火設備に関する検査の徹底/防火設備検査制度の創設(法第12条第3項及び第4項)
    防火戸等の防火設備に関する検査を建築物の定期調査から独立させ、専門的知識及び能力を有する者に検査を行わせることとなりました。
  3. 資格者に対する処分基準の明確化/調査資格者制度(法第12条の2及び第12条の3)
     定期調査・検査を行う者は、一級建築士、二級建築士及び建築物調査員資格者証(定期検査に関しては建築設備等検査員資格者証)の交付を受けている者とすることとし、 建築物調査員資格者証又は建築設備等検査員資格者証の交付を受ける要件、欠格事由、定期調査・検査に関して不誠実な行為をした者や不正な手段により資格者証の交付を受けた者等に対する資格者証の返納命令等の規定を設け、処分基準が明確化されました。
     なお、建築物調査員資格者証(定期検査に関しては建築設備等検査員資格者証)は、国土交通省令で定める講習の過程を修了した上で、国土交通大臣から資格者証の交付を受ける必要があります。
  4. ④ 施行時期
    平成28年 6月 1日

(3)留意事項

  1.   対象建築物等の報告時期等については変更ありません。
    ただし、防火設備検査報告については、平成31年5月31日までの3年間、報告時期について経過措置期間が設けられております。詳しくは、「 3.定期報告対象建築物・建築設備等及び報告時期一覧」の「(4)防火設備に関する経過措置について」をご確認ください。
    ※2019年(平成31年)6月1日以降の報告時期は、防火設備定期報告時期一覧PDFファイル142KB)をご確認ください。

2-2.定期調査報告概要書の様式の改正(平成31年4月1日施行分)

 定期調査報告概要書は建築基準法令に基づき、各特定行政庁において一般の閲覧に供されています。より正確な情報公開を図る観点から、平成31年4月1日より、以下の事項を追加するため、定期調査報告概要書の様式を改正します。

  • ・防火設備、建築設備、昇降機等の定期検査報告状況の記載欄に、「対象外」を追記する。
  • ・「延べ面積」の記載欄に、「今回報告部分の床面積の合計」欄を追記する。
  • ・「階別用途別床面積」の記載欄に、「階別床面積の合計」欄を追記する。

2-3.防火設備定期検査の報告時期の改正(平成31年6月1日施行分)

(1)改正の背景

 平成28年6月1日に防火設備検査報告制度が開始され、平成29年度末までに東京都に対して約3,700件の報告がありました。この報告における月毎の件数の推移は下表のとおりであり、年度末に報告が過度に集中しました。
 こうした特定の月における報告(検査)の集中は、東京都内における円滑な制度運用に支障を来たすことが懸念されます。
 そこで、東京都内の経過措置期間が終了する平成31年5月31日以降を見据えて、用途ごとに防火設備定期検査報告の時期(月)を定め、報告(検査)の平準化を図ることとしました。

防火設備検査報告件数の推移

※ 平成28年度及び平成29年度に東京都に提出された報告書を基に作成

(2)改正内容

 これまでは一年間の適当な時期に報告することとなっていましたが、2019年(平成31年)6月1日以降は、用途ごとに報告時期(月)を定めることとします(防火設備定期報告時期一覧PDFファイル142KB))。
 なお、やむを得ない理由(例えば、年に一度のビル停電日のみ検査可能、既に検査の予定を組んでいるなど)がある場合には、特定行政庁にあらかじめ申し出ることにより、定められた報告時期以外に報告することができますので、特定行政庁にご相談ください。

(3)報告時期のケーススタディ

 用途や竣工時期に応じた報告時期は、防火設備の報告時期(ケーススタディ)PDFファイル371KB)をご確認ください。